Reasons and Persons

Reasons and Persons

  • 作者:Parfit, Derek
  • 発売日: 1986/02/20
  • メディア: ペーパーバック
 

  キンドルで購入。自己利益説吟味から始まり、人格の同一性、世代間倫理的な話など内容は豊富。永井均さんが確か『転校生とブラックジャッック』の中で、予備知識がなくても根気よく思考をたどって読めば理解できるという良いで理想的な哲学書と書いていた気がするが、全く同意。書き方は明晰判明で、粘り強く徒手空拳で哲学的問題そのものと格闘していく議論を追っていくのが非常に楽しかった。テーマ自体も理解しやすいことと、結論が常識に反する部分が多いのもあって、とにかく読んでいて面白い。最後がブッダで終わるのも何か良いね。
 英語も読みやすいし、これは20世紀の古典となるのも納得の名著だ。最近流行(?)の反出生主義(特に後半の世代間倫理やどっちの世界がましか議論など、関連強そうだがまだまだ考察している人が少ないテーマでは?)とも結びつきが強いしね。(翻訳で読む場合かなり高額なので買うのはちょっと大変かもしれないが)哲学愛好家なら絶対読むべき。