キンドルで購入。フラがあり独特のリズムとグルーヴで読むものを高揚させる文章ゲイは見事だ。段落ごとにいちいち決めが入るのもダサさを感じさせない。
 中身もアナーキスト的ポスとモダン的アジテーションとして良い出来だ。ただ、まだこれじゃ賃金奴隷の一時的な憂さ晴らしとしての読書体験にしかならないじゃないか、大体著者は金はないかもしれないが、ルックスがそこそこ良くて彼女もいるじゃないか(事実上夫婦で、生活が何とかなっているのもこれが大きいのでは?)、その点こちとらそれすらない最底辺はそんな景気いいこと言われたって全く救われねえよ、という思いもぬぐい切れない。
 そういう連中をも射程に収めた思想にするためには、どうしてもある種の実践性(=目的連関、合理性)を取り入れて、地味な生活向上・貧困撲滅的要素を考えないといけなくなるのでは?「いや、それこそが奴隷的な発想だ」とパンク一辺倒で行く路線もあるにはあるが……。
 結局これもプラトンアリストテレスの対立というか、理想追求型と現実重視型の対立なのだろう。
 やや横にそれたが、滅法面白いのは間違いないので、タイトルにちょっとでもひっかかった人は読んで絶対に損はしないはず。
 余談。著者はコロナになっちゃったんだそうです。比較的他人との接触は少なそうな生活スタイルなんじゃないかと推測するが、感染の心当たりなどあるのだろうか?ちょっと気になる。