キンドルで購入。広い意味での分析系の哲学はどんなものかというのが良くわかる本。それこそ古代ギリシアから説き起こしてみたいなスタイルではなく、トピックごとに話を進めていって、自然科学との対比をメインに哲学の内容を解き明かしていくのがパフォーマティブにも「哲学とは何か」という問いへの答えを示しているとも言える。
 英語も非常に読みやすいし、現代哲学ってどんなものかを大枠でつかみたい非専門家にこそ、信頼できる内容としてお薦めしたい。
 余談。著者が有名なニーチェ研究者の話を聞いたときに、その研究者が「ニーチェ哲学は単なるアカデミックな理論じゃない。真剣に捉えれれば自身の生を全く異なる非慣例的なもの(unconventional、うまい訳思いつかず)に変容させるのだ」と言った後に、学生が「先生は哲学教授で学生に哲学を大学という制度の枠内で教えてるわけですが、それはどうなるんですか?」(=ニーチェ哲学を真剣に学んだら、世俗の制度そのものの大学制度に乗っかった教授をしてるなんて変じゃないですかってこと)ともっともな質問をしたところ、「質問の意味が分かりません」と逃げたらしい(pp.18-19)。
 こういった話は冗談でよく読むが、本当にあるんだね。先生もちゃんと上手い切り替えし用意しとけよというツッコミとともに、真面目に答えるとしたらどう答えるのがいいのかは考えないといけないでしょう。