図書館で借りて読了。進化生物学や行動経済学をもとにしての現代の政治状況分析。著者の見立てには多くの人が大筋で同意するだろう。対処法がある意味漠然とし過ぎている「部族主義に陥らないために、適度に自己懐疑を持ち、しっかり勉強しましょう」って、それができりゃ苦労しないよと言いたくなるが、そんな劇的な解決法もないわけで。メディア規制やら社会制度の中に中間共同体的なものをうまく作ったりして部族主義を緩和するという処方箋もありだとは思うが、こういうエリート主義的な解決策もストレートに出すと、また感情的な部族衝突になりかねないとなると、手練手管を使ってリベラルがうまいこと「だまくらかして」社会変革するということになるのか。それはそれで気持ち悪い管理社会になる危険性もあるしなぁ。
 結局当面は地道に勉強して、少しづつ啓蒙してくしかないんだろう。
 余談。ラスト付近に呉智英夫子の若かりし頃のほとんど知られていない(少なくとも私は知らなかった)発言がいくつか紹介されているのが貴重かもしれない。