- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2000/12/16
- メディア: DVD
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もちろん悲劇的で観ていてつらいのは間違いないが、それと同じくらい演出の上手さに感心した。食卓でのおばさんの雑炊よそいわけのえげつなさや、交番から買い干された清太がこらえきれなくなり涙を流す場面など、相当の手練れじゃないとここまで効果的な場面は作れない。
節子が「兄ちゃん!兄ちゃん!!」と交番につれていかれるときに出る叫びの何と哀切なことか。
何となく多少説教臭い泣ける反戦映画というのは、この映画のごく一部分を拡大したもったいない解釈。おそらくは、色んな意味で『片隅』対になって今後も観続けられる傑作太平洋戦争アニメとして残っていくのでしょう。
鑑賞し終わって色々思うところは多かったが、おばさんに体現される「世間」のどうしようもない醜悪さがきつかった。もちろん彼女は特段の悪人じゃないし、多くの日本人が辛い生活を強いられる中であの態度はそうそう責められるものでもないのは百も承知なんだが、それにしたってねぇ……。
あえて教訓を読み取るという無粋なことをするなら、窮乏状態というのは人心を荒廃させるということでしょうか。
シリア情勢の映像が多く流れる中での放送は、また一段と考えさせる非常にタイムリーな放映に図らずもなったのでは。テレビメディアの糞っぷりが目立つ近年の中では、珍しく意義ある放送だったでしょう。