新刊で購入。ちょっといましろたかしっぽいユーモラスな絵柄と、時折垣間見える証言者の明るい気丈さが重い主題を多少読みやすくしてくれているかな。もちろんそれは非道や絶望を薄めているということではなく、ダークな場面は胸が潰されそうな迫力。
 コマ割りこそシンプルなものの、表現は工夫があり技巧的にも目を引く。
 戦争中だけではなく、前後もきっちりと描いてくれているのも良い。
 ついついテーマから予断をもってしまいがちだが、単なる左翼説教調な絵解きでは全くなく、優れたグラフィックノベルだった。