キンドルで購入。

 印象的なエピソードの導入から始まり、失敗=試行こそが進化のために必須だという趣旨は非常に勇気づけられる。

 航空業界と医療業界の対比で、医療業界の失敗への取り組みが遅まきながらも進んでいる様子が出てくるが、日本ではどうなんだろう。医療事故だと裁判沙汰という悪いもの探しが目立って、安全性向上の仕組みはアメリカに比べると劣っているように見えるのだが。

 どうしても誰かのせいにしたい、責任者を責めたいといった人間の弱点や権威者の無謬主義傾向など、なかなか逃れるのが難しい人間の弱点も意識しているとしないとでは大違いだろう。

 万人が読むべきポピュラーサイエンスの良書。

 失敗することを恐れて不安にさいなまれてダウンした人間としては、ある意味希望を貰った気がする。