読書

海と山のオムレツ (新潮クレスト・ブックス) 作者:カルミネ・アバーテ 新潮社 Amazon 図書館で借りて読了。 行きつけの割烹で知り合った人に勧められて。 著者の幼少期から現代まで、料理とそれにまつわるエピソードを感傷的過ぎずかといってドライでもない…

哲学の誕生 ──ソクラテスとは何者か (ちくま学芸文庫) 作者:納富信留 筑摩書房 Amazon キンドルで購入。 ギリシア哲学とは、極端に言えばソクラテス・プラトン・アリストテレス、あとはその他大勢といういう見方、「無知の知」を巡る日本でのソクラテス受容…

おいしいをつくる思考法: すべての飲食人が知っておきたい 作者:鳥羽 周作 柴田書店 Amazon 図書館で借りて読了。 晩学で料理人になり、かつ複数店舗経営に成功しているだけあってしっかり考えて料理・経営しているなと。 味や料理についてはまあフンフンそ…

よくよく考え抜いたら、世界はきらめいていた 哲学、挫折博士を救う 作者:関野哲也 CCCメディアハウス Amazon 図書館で借りて読了。 フランスで博士号を取得までしながら、健康を害し工場勤務など全く博士号が生きない職で働くという境遇に共感し読んでみた…

黄色い家 (単行本) 作者:川上未映子 中央公論新社 Amazon 図書館で借りて読了。 600ページ近いボリュームにもかかわらず、滑らかな文章とややベタなだけど良いテンポのドラマ展開で一気に読ませる。かなりの筆力を感じさせる。 ザ・下流社会ポルノ的エンタメ…

Well-Being 作者:Ben Bradley Amazon キンドルで購入。 コンパクトにまとまった倫理学、もしくは幸福の哲学(って言い方あるのか?)という方が正確か。まあ2つは重なる部分が多いしね(もちろんその重なり方自体どういうものかが哲学的に問題なわけでもある…

食べたくなる本 作者:三浦 哲哉 みすず書房 Amazon 図書館で借りて読了。 料理本を、具体的なレシピやお役立ち度でなく、レシピや技法などの背後にある思想などを中心に分析批評するというあまりないタイプの料理本に関する本。メタ料理本か。 冷徹でクリア…

プラトンが語る正義と国家 不朽の名著・『ポリテイア(国家)』読解 (テンミニッツTV講義録 2) 作者:納富 信留 ビジネス社 Amazon キンドルで購入。オンライン講義をまとめたもので、本当に導入の導入という初心者向け。ボリュームもさっと読むのにちょうど…

ボンド 桃農家のねこ クレヴィス Amazon 図書館で借りて読了。 岩合さんの猫写真は見てほれぼれ・ほのぼのしてホント良いね。桃農園まで車に一緒に乗って出かけるのも珍しいし、農園を駆け巡るボンドの元気と愛嬌がとても愛らしい。 ニコニコしながらページ…

バーナード・ウィリアムズの哲学: 反道徳の倫理学 作者:渡辺一樹 青土社 Amazon 図書館で借りて読了。 難解なウィリアムズの分かりやすい解説書というだけで非常に価値あり(私は若い時頑張って読もうとしたけど挫折した……)。 倫理学関係が中心で、その他の…

ウイルス学者さん、うちの国ヤバいので来てください。 (中公新書ラクレ) 作者:古瀬祐気 中央公論新社 Amazon 図書館で借りて読了。 文体は軽妙で著者は謙虚極まりないが、かなりのエリート的な医者・研究者人生を歩んでいる著者の世界を股に掛けた活躍を楽し…

純米酒を極める (知恵の森文庫 t う 1-1) 作者:上原 浩 光文社 Amazon 三浦さんの本で紹介されていたので。 21世紀以降の日本酒業界の方向性にどうやらそれなりの影響を与えたらしい。少なくともテロワール重視とでもいうような思想には共感を覚える。純米酒…

カワセミ都市トーキョー: 「幻の鳥」はなぜ高級住宅街で暮らすのか (1049;1049) (平凡社新書 1049) 作者:柳瀬 博一 平凡社 Amazon 図書館で借りて読了。 都心で普通に生活していたら普通は気付かないところに、非常に見た目が綺麗な小さい野鳥が生息している…

人生の意味の哲学入門 春秋社 Amazon 新刊で購入。 ごくおおざっぱなくくりでの分析哲学系の良くまとまった教科書的内容が大半。議論になる項目やこのテーマの歴史、文献案内など綺麗に整理されている。 それはそれで充分有意義だと思うが、本書だと山口尚さ…

自炊者になるための26週 作者:三浦哲哉 朝日出版社 Amazon 図書館で借りて読了。一応誰でも読める教科書的体裁だが、要求水準はかなり高い。初学者ではなく、中級者以上向けな印象。 文章は読みやすいし、明らかに著者は味に対して「分かっている」感がして…

世界哲学のすすめ (ちくま新書) 作者:納富信留 筑摩書房 Amazon キンドルで購入。 どうしてもギリシアから現代欧米へと続く流れで行われたもののみが哲学だと私は考えてきたし、アジア圏では哲学的なものはあくまでマイナーで、「思想」はあっても「哲学」は…

暗闇の美術 陰鬱でもの悲しく怪奇な作品集 作者:S・エリザベス 求龍堂 Amazon 図書館で借りて読了、というほどではなく絵を眺めて文章は流し読み。 過去の傑作と現代作品半々から四六くらいの割合かな。現代作家のものも十分質の高いもので、過去の名作と並…

インド残酷物語 世界一たくましい民 (集英社新書) 作者:池亀 彩 集英社 Amazon 図書館で借りて読了。 近年注目をされることが多いインドのフィールドワーク的観察記録。 改善されているとはいえ、それでもカースト制度のおぞましさと名誉殺人というこれまた…

現代思想2024年1月号 特集=ビッグ・クエスチョン——大いなる探究の現在地 作者:山極寿一,佐藤勝彦,中村桂子,永井均,三牧聖子 青土社 Amazon キンドルで購入。 永井、入不二、青山、飯田といったいつものJ哲学大家たちのものは面白くて、それ以外はちょっと………

戦争の地政学 (講談社現代新書) 作者:篠田英朗 講談社 Amazon キンドルで購入。 文体はかなり硬めだが、分かりやすいしっかりした入門書。ウクライナへの侵略の背景をはじめとする現代国際関係を考察する上での前提知識として、これ読むだけでも見通しが少し…

Justice for Animals: Our Collective Responsibility (English Edition) 作者:Nussbaum, Martha C. Simon & Schuster Amazon キンドルで購入。 英語は普通からちょい読みにくいくらい。 動物の権利について、従来のケイパビリティアプローチを拡張して包括…

「若者の読書離れ」というウソ: 中高生はどのくらい、どんな本を読んでいるのか (1030;1030) (平凡社新書 1030) 作者:飯田 一史 平凡社 Amazon 図書館で借りて読了。 参照できる数字データで私のようなオッサン亜インテリのステレオタイプを解毒してくれる良…

お客さん物語―飲食店の舞台裏と料理人の本音―(新潮新書) 作者:稲田俊輔 新潮社 Amazon 図書館で借りて読了。 以前読んだ『食いしん坊のお悩み相談』は随分中身が薄かったが、こちらはグルメ読みものとして面白い。 体験談や現代グルメ事情の考察など軽妙な…

夜明けを待つ 作者:佐々 涼子 集英社インターナショナル Amazon 図書館で借りて読了。 旧ツイッターで鈴木智彦さんが勧めているのを目にして読んでみた。 素晴らしい。 控えめながら諦念というほど冷めてもいない落ち着いた文体、その文体であるがゆえに、重…

多様性の科学 作者:マシュー・サイド ディスカヴァー・トゥエンティワン Amazon 図書館で借りて読了。 豊富な現実世界の実例や広い学問分野の知見を手際よくまとめた非常に優れたポピュラーサイエンス読み物かと。 どうしても賃金奴隷根性で、いかに所属組織…

窓ぎわのトットちゃん 作者:黒柳 徹子,いわさき ちひろ 講談社 Amazon 図書館で借りて読了。 子どもたちをのびのび自由に、個性を大事に、といった戦後民主主義的、進歩派的な教育の良い部分が、恐らくは子供も読むことを意識した簡潔、しかし生き生きとして…

ブッダという男 ――初期仏典を読みとく (ちくま新書) 作者:清水俊史 筑摩書房 Amazon キンドルで購入。 旧ツイッター上で、未だにこんなに酷いアカハラ案件があるのかという事態の被害者だと話題になっていたのをきっかけに読んでみた。 これはある意味待望の…

近代美学入門 (ちくま新書) 作者:井奥陽子 筑摩書房 Amazon キンドルで購入。 「近代」を非常に明確に意識した見事な美学入門書。これは今後当分「まずはこれ読め」的な本になりそう。 ニーチェ(やハイデガーも?)といった近代西洋にも、ここで言われてい…

生きることの意味を問う哲学: 森岡正博対談集 作者:森岡正博 青土社 Amazon 新刊で購入。 森岡さんの「哲学学」批判や、頭脳スポーツ的・パズル解きのような小賢しい哲学のやり方への批判はおおむね同意できるし、自らの生き方に関わらない仕方で哲学するの…

ゾンビ化するアメリカ 時代に逆行する最高裁、州法、そして大統領選 USA語録 (文春e-book) 作者:町山 智浩 文藝春秋 Amazon キンドルで購入。比率は下がったとはいえ、トランプ関連のネタが中心。次の大統領選挙でもしトランプ再選なんてことになったら、ウ…