読書

ブッダという男 ――初期仏典を読みとく (ちくま新書) 作者:清水俊史 筑摩書房 Amazon キンドルで購入。 旧ツイッター上で、未だにこんなに酷いアカハラ案件があるのかという事態の被害者だと話題になっていたのをきっかけに読んでみた。 これはある意味待望の…

近代美学入門 (ちくま新書) 作者:井奥陽子 筑摩書房 Amazon キンドルで購入。 「近代」を非常に明確に意識した見事な美学入門書。これは今後当分「まずはこれ読め」的な本になりそう。 ニーチェ(やハイデガーも?)といった近代西洋にも、ここで言われてい…

生きることの意味を問う哲学: 森岡正博対談集 作者:森岡正博 青土社 Amazon 新刊で購入。 森岡さんの「哲学学」批判や、頭脳スポーツ的・パズル解きのような小賢しい哲学のやり方への批判はおおむね同意できるし、自らの生き方に関わらない仕方で哲学するの…

ゾンビ化するアメリカ 時代に逆行する最高裁、州法、そして大統領選 USA語録 (文春e-book) 作者:町山 智浩 文藝春秋 Amazon キンドルで購入。比率は下がったとはいえ、トランプ関連のネタが中心。次の大統領選挙でもしトランプ再選なんてことになったら、ウ…

人が人を罰するということ ――自由と責任の哲学入門 (ちくま新書 1768) 作者:山口 尚 筑摩書房 Amazon キンドルで購入。 罰や責任を話題にするときは、ついつい死刑を中心とした近代制度を前提に論じてしまう傾向があるが、もっと広い視野でとらえられる…

悪党の詩 作者:D.O 彩図社 Amazon 図書館で借りて読了。吉田豪さんのインタヴューで興味を持って。 この手の悪行自慢はどこまで本当か分からない部分も多いが、大麻で実刑を食らったことを考えると、その周辺の話は信ぴょう性はありそう。 幼少期から少年時…

語学の天才まで1億光年 作者:高野 秀行 集英社インターナショナル Amazon 図書館で借りて読了。 帯の文句が内容を端的に物語る。ハチャメチャ青春日記にして多数のメジャーマイナー言語学習記録にして語学とからめた文化論まで踏み込んだ滅茶苦茶に面白い読…

シン・人間コク宝 作者:吉田豪 コアマガジン Amazon 図書館で借りて読了。 相手はバラエティに富んでいるが、昭和芸能、サブカル、マンガ、お騒がせ系芸能人、と著者のメインフィールドはほぼ網羅しているか。格闘技とプロレス関係の人がいないけど、時折ふ…

実践!クリティカル・シンキング (ちくま新書) 作者:丹治信春 筑摩書房 Amazon 図書館で借りてやや流し読み気味に読了。 これは素晴らしいクリシン本。哲学者の得意な厳密さ・ねちっこさで書かれていて、丁寧に思考・議論を実践する練習をするには最高の教材…

石黒亜矢子作品集 作者:石黒亜矢子 玄光社 Amazon 図書館で借りて眺める。 猫が目当て。奇想寄り和風な可愛らしさが魅力。猫以外も可愛いよ。

言語哲学がはじまる (岩波新書 新赤版 1991) 作者:野矢 茂樹 岩波書店 Amazon 新刊で購入。 フレーゲ・ラッセル・ウィトゲンシュタインという分析哲学の始祖3人についての見事な解説入門書兼、言語哲学入門書。 私の若い時には『言語哲学大全』に進む前に、…

ザイム真理教 作者:森永 卓郎 三五館シンシャ Amazon 図書館で借りて読了。 実体験も交えた財務省批判。批判対象の発言ソースもしっかり明記して、消費増税を含む緊縮経済政策への分かりやすい記述は素人にもありがたい。アベノミクスの無条件礼賛でもなく、…

アントニオ猪木とは何だったのか (集英社新書) 作者:入不二基義,香山リカ,水道橋博士,ターザン山本,松原隆一郎,夢枕獏,吉田豪 集英社 Amazon キンドルで購入。 著者によって出来の差が激しい。私が哲学愛好家だからということを抜きにしても、最初の入不二さ…

老いとお金 (角川文庫) 作者:群 ようこ KADOKAWA Amazon 図書館で借りて読了。 タイトルがドストライク過ぎて読んでみた。母親と弟によるある種の経済的搾取ともめ事が凄まじい。売れっ子作家や芸能人などは普通の金持ち以上に家族を含む周囲に寄生される傾…

終わらない戦争 ウクライナから見える世界の未来 (文春新書) 作者:小泉 悠 文藝春秋 Amazon キンドルで購入。 名コンビ「ハイマース」のひとまずの区切りとして、そして各種専門家との対談で良いコラボ効果が発生し、ウクライナでの戦争のより立体的かつ俯瞰…

不思議なテレポート・マシーンの話 ──なぜ「ぼく」が存在の謎を考えることになったか? (ちくまQブックス) 作者:飯田隆 筑摩書房 Amazon キンドルで購入。物質のテレポート機らしきものから、コピー機かもと展開させて同一性などの思考へと流れるように展開…

北関東「移民」アンダーグラウンド ベトナム人不法滞在者たちの青春と犯罪 (文春e-book) 作者:安田 峰俊 文藝春秋 Amazon 図書館で借りて読了。 ほとんど普通に生活していると接点がないところで、地下茎のようにそれなりの規模で広がっているベトナム人コミ…

ウォーキングの科学 10歳若返る、本当に効果的な歩き方 (ブルーバックス) 作者:能勢博 講談社 Amazon キンドルアンリミテッドで流し読み。 散歩やウォーキング、筋トレなどメンタルダウンしたときには大体やった方が良いと言われるが、定量的な程度につい…

オンガクハ、セイジデアル MUSIC IS POLITICS (ちくま文庫) 作者:ブレイディみかこ 筑摩書房 Amazon 音楽を軸に英国政治や英国事情を縦横無尽に語りつくす。二つの話題が不可分に融合したスタイル(タイトルそのもの!)が魅力的だ。 日本でこういうことでき…

ブロークン・ブリテンに聞け Listen to Broken Britain 作者:ブレイディみかこ 講談社 Amazon 図書館で借りて読了。 ブレグジットからコロナ禍までの激動の英国事情。中間層や労働者階級のさらなる没落、格差や公的サービス縮小などは日本と本当に重なるなぁ…

他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ (文春e-book) 作者:ブレイディ みかこ 文藝春秋 Amazon 図書館で借りて読了。 得意のノンフィクションではなく抽象的な話。確かに日本だと「シンパシー」はよく使っても「エンパシー」はほとんど使わないか…

池田暁子の必要十分料理 作者:池田暁子 トランスビュー Amazon 図書館で借りて読了。 可愛らしい絵柄で手に取りやすいが、中身は本格的な考察本。巻末の参考文献表の充実ぶりを見ればそれは一目瞭然。 想定読者は、色々試してみても料理が上達しないのでその…

ヤクザときどきピアノ 作者:鈴木 智彦 CCCメディアハウス Amazon 図書館で借りて読了。 中年男性が突如としてピアノ(で特定の曲を)弾きたいと思い立って、ピアノ教室へ通い始めてから発表会で演奏するまでの過程を書いた本というと、ユーモアエッセイを…

花の命はノー・フューチャー DELUXE EDITION (ちくま文庫) 作者:ブレイディ みかこ 筑摩書房 Amazon 図書館で借りて読了。 本人のいう通り、こちらも勢い重視の文体でよりパンキッシュで多少露悪的。それでも抜群に面白いエッセイなんだから、やはり文才ある…

THIS IS JAPAN :英国保育士が見た日本 (新潮文庫 ふ 57-1) 作者:ブレイディ みかこ 新潮社 Amazon 図書館で借りて読了。 日本の困窮現場を歩く中、一番解像度が高いのはやはり専門の保育園編か。いやー日本の保育園が1人でこんなにたくさんの人数を見なきゃ…

帰ってきた 聞き出す力 作者:吉田 豪 ホーム社 Amazon 図書館で借りて読了。 前半がかなり散漫な印象あり。後半はまとまってきて読み応えあり。文章の絶妙なバランス感覚はさすが。吉田さんは内に秘めた倫理観や正義感も非常に健全でとても好感が持てる。そ…

食いしん坊のお悩み相談 作者:稲田 俊輔 リトル・モア Amazon 図書館で借りて読了。 旧ツイッターを読んでいたので。うーん、正直ツイートまとめてみた的な、ちょっと内容薄い感は否めない。

ジンセイハ、オンガクデアル: LIFE IS MUSIC (ちくま文庫 ふ 52-2) 作者:ブレイディ みかこ 筑摩書房 Amazon 図書館で書いて読了。 明らかに文章に勢い・若書き感がある。内容はなかなかに凄まじい底辺託児所エッセイが中心っで、あまりにもパンクで笑うしか…

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2 作者:ブレイディ みかこ 新潮社 Amazon 図書館で借りて読了。 1巻目に比較して質は全く劣らず。文章で細やかな情感を感じさせつつ、背景のハードな英国状況も力まず自然に書けるのが素晴らしい。じいちゃんと…

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー (新潮文庫) 作者:ブレイディみかこ 新潮社 Amazon 図書館で借りて読了。 親子の関係、ハードだけれども爽やかなティーンエイジャー事情、といったドラマにして、なかなかに大変な社会情勢を反映した英国教育事情…