哲学

哲学の誕生 ──ソクラテスとは何者か (ちくま学芸文庫) 作者:納富信留 筑摩書房 Amazon キンドルで購入。 ギリシア哲学とは、極端に言えばソクラテス・プラトン・アリストテレス、あとはその他大勢といういう見方、「無知の知」を巡る日本でのソクラテス受容…

よくよく考え抜いたら、世界はきらめいていた 哲学、挫折博士を救う 作者:関野哲也 CCCメディアハウス Amazon 図書館で借りて読了。 フランスで博士号を取得までしながら、健康を害し工場勤務など全く博士号が生きない職で働くという境遇に共感し読んでみた…

Well-Being 作者:Ben Bradley Amazon キンドルで購入。 コンパクトにまとまった倫理学、もしくは幸福の哲学(って言い方あるのか?)という方が正確か。まあ2つは重なる部分が多いしね(もちろんその重なり方自体どういうものかが哲学的に問題なわけでもある…

プラトンが語る正義と国家 不朽の名著・『ポリテイア(国家)』読解 (テンミニッツTV講義録 2) 作者:納富 信留 ビジネス社 Amazon キンドルで購入。オンライン講義をまとめたもので、本当に導入の導入という初心者向け。ボリュームもさっと読むのにちょうど…

バーナード・ウィリアムズの哲学: 反道徳の倫理学 作者:渡辺一樹 青土社 Amazon 図書館で借りて読了。 難解なウィリアムズの分かりやすい解説書というだけで非常に価値あり(私は若い時頑張って読もうとしたけど挫折した……)。 倫理学関係が中心で、その他の…

人生の意味の哲学入門 春秋社 Amazon 新刊で購入。 ごくおおざっぱなくくりでの分析哲学系の良くまとまった教科書的内容が大半。議論になる項目やこのテーマの歴史、文献案内など綺麗に整理されている。 それはそれで充分有意義だと思うが、本書だと山口尚さ…

自炊者になるための26週 作者:三浦哲哉 朝日出版社 Amazon 図書館で借りて読了。一応誰でも読める教科書的体裁だが、要求水準はかなり高い。初学者ではなく、中級者以上向けな印象。 文章は読みやすいし、明らかに著者は味に対して「分かっている」感がして…

世界哲学のすすめ (ちくま新書) 作者:納富信留 筑摩書房 Amazon キンドルで購入。 どうしてもギリシアから現代欧米へと続く流れで行われたもののみが哲学だと私は考えてきたし、アジア圏では哲学的なものはあくまでマイナーで、「思想」はあっても「哲学」は…

現代思想2024年1月号 特集=ビッグ・クエスチョン——大いなる探究の現在地 作者:山極寿一,佐藤勝彦,中村桂子,永井均,三牧聖子 青土社 Amazon キンドルで購入。 永井、入不二、青山、飯田といったいつものJ哲学大家たちのものは面白くて、それ以外はちょっと………

Justice for Animals: Our Collective Responsibility (English Edition) 作者:Nussbaum, Martha C. Simon & Schuster Amazon キンドルで購入。 英語は普通からちょい読みにくいくらい。 動物の権利について、従来のケイパビリティアプローチを拡張して包括…

生きることの意味を問う哲学: 森岡正博対談集 作者:森岡正博 青土社 Amazon 新刊で購入。 森岡さんの「哲学学」批判や、頭脳スポーツ的・パズル解きのような小賢しい哲学のやり方への批判はおおむね同意できるし、自らの生き方に関わらない仕方で哲学するの…

人が人を罰するということ ――自由と責任の哲学入門 (ちくま新書 1768) 作者:山口 尚 筑摩書房 Amazon キンドルで購入。 罰や責任を話題にするときは、ついつい死刑を中心とした近代制度を前提に論じてしまう傾向があるが、もっと広い視野でとらえられる…

実践!クリティカル・シンキング (ちくま新書) 作者:丹治信春 筑摩書房 Amazon 図書館で借りてやや流し読み気味に読了。 これは素晴らしいクリシン本。哲学者の得意な厳密さ・ねちっこさで書かれていて、丁寧に思考・議論を実践する練習をするには最高の教材…

言語哲学がはじまる (岩波新書 新赤版 1991) 作者:野矢 茂樹 岩波書店 Amazon 新刊で購入。 フレーゲ・ラッセル・ウィトゲンシュタインという分析哲学の始祖3人についての見事な解説入門書兼、言語哲学入門書。 私の若い時には『言語哲学大全』に進む前に、…

不思議なテレポート・マシーンの話 ──なぜ「ぼく」が存在の謎を考えることになったか? (ちくまQブックス) 作者:飯田隆 筑摩書房 Amazon キンドルで購入。物質のテレポート機らしきものから、コピー機かもと展開させて同一性などの思考へと流れるように展開…

悪い言語哲学入門 (ちくま新書) 作者:和泉悠 筑摩書房 Amazon キンドルで購入。 タイトルは少しひねっているが、中身は非常に正統的で読みやすい言語哲学入門書だった。 いきなり『言語哲学大全』シリーズから入るのは厳しい人や、言語哲学ってどんなものか…

感情の哲学入門講義 作者:源河亨 慶應義塾大学出版会 Amazon キンドルで購入。 前半部分の感情と価値判断の関係などが哲学的に掘り下げがいがある気がする。感情に認知的側面があるにしても、それが感情本体と必然的に結び付いているとまでは言えない(ヘビ…

On What Matters (3) 作者:Parfit, Derek Oxford University Press, USA Amazon キンドルで購入。 これは元のパーフィツトの本を読んでいて、かつ現代の倫理学についてもある程度知識がないとつらい(から流し読みになってしまった)。 そういう意味で予備知…

哲学的洞察 作者:永井 均 青土社 Amazon 新刊で購入。ご本人も書いている通り、整った議論というよりアイデアやらヒントやら断片的なものも多く、長年永井哲学に親しんできたつもりの私にもかなり難しく感じた。しかし、ほとんど全て哲学の話である分それで…

Killing in War (Uehiro Series in Practical Eth) (Uehiro Practical Ethics) 作者:Mcmahan, Jeff Oxford University Press (UK) Amazon キンドルで購入。少し前の本だが、ロシアの侵略戦争が起こった今こそ論じたい内容っぽかったので。 普段馴染みがない…

なぜこれまでからこれからがわかるのか: デイヴィッド・ヒュームと哲学する 作者:成田正人 青土社 Amazon 新刊で購入。ヒューム経由で帰納を検討、ではあるがうーん文章はくどいし議論もツッコミ具合がいまいち。テーマ自体は哲学の中心問題の一つと言っても…

オックスフォード哲学者奇行 作者:児玉 聡 明石書店 Amazon キンドルで購入。 web連載時から楽しんで読んでいたが、読み逃し分も含め得てまとめ読めて楽しい。分析哲学をかじった人にはより興味深くなるのは間違いないが、哲学の知識がなくても読み物として…

このゲームにはゴールがない ――ひとの心の哲学 (単行本) 作者:古田 徹也 筑摩書房 Amazon 新刊で購入。他者を巡る懐疑論とカヴェル(とウィトゲンシュタイン)がメインテーマということで非常に期待したのだが、うーんそこまででは。 カヴェル解説としては貴…

哲学の門前 作者:吉川浩満 紀伊國屋書店 Amazon 図書館で借りて読了。 著者の名前はときおり見かけて気になっていたので読んでみた。うーん、いくら門前と自分で言っていても哲学要素が大分少ないのが不満。 むしろエッセイ的な部分の方が良い。ヤフーのスト…

人間の自由と物語の哲学: 私たちは何者か 作者:山口 尚 トランスビュー Amazon 新刊で購入。前半の普通(?)の哲学と後半の文学の接続のしかたが文章の上手さもあって見事だった。個人的にも自然主義でなく多元主義の方が魅力を感じるし、自由や責任は(お…

Meaning in Life and Why It Matters (The University Center for Human Values Series Book 35) (English Edition) 作者:Wolf, Susan Princeton University Press Amazon キンドルで購入。倫理や幸福とは違う人生の意味の独自性はあるような気がしないでも…

From Existentialism to Metaphysics: The Philosophy of Stephen Priest Peter Lang Pub Inc Amazon キンドルで購入。永井均さんの弟子筋の清水さんが執筆者にいるということで読んでみた。永井さん自身も少しだけ著者に言及されている(p.34)。 清水さん…

難しい本を読むためには (ちくまプリマー新書) 作者:山口尚 筑摩書房 Amazon キンドルで購入。必勝法でなく正攻法とはけだし名言。 解きほぐすように懇切丁寧に文章を読み解いていくよき手本として、多くの若い人に読んでもらいたい。もちろん私のようないい…

「美味しい」とは何か-食からひもとく美学入門 (中公新書 2713) 作者:源河 亨 中央公論新社 Amazon 新刊で購入。世界的にも稀有な切り口の美学入門書で、テーマ的にこれが欲しかったと私にドンピシャリの待望の新書。 内容は手堅くまとまって、自然科学の知…

啓蒙思想2.0〔新版〕 政治・経済・生活を正気に戻すために (ハヤカワ文庫NF) 作者:ジョセフ ヒース 早川書房 Amazon キンドルで購入。素晴らしい。 行動経済学を中心に自然科学を参照しつつ、個人の努力や徳ではなく外部環境や集合知を重視する広い意味での…