キンドルで購入。

 旧ツイッター上で、未だにこんなに酷いアカハラ案件があるのかという事態の被害者だと話題になっていたのをきっかけに読んでみた。

 これはある意味待望の書。イエスや聖書、孔子儒教ムハンマドコーランなどに、ついつい現代的な価値観を持ち込んで「こうあって欲しい」というのを見出してしまいがちだが、ある意味率直かつ虚心坦懐にテキスト・証拠を見てみれば、全然そんなことは言っていないしむしろ現代人には受け入れがたい問題が多い見解も多いんだということや、歴史的・時代的な背景抜きには理解できないんだということを説得的に論じてくれている。

 もちろん、単なるダメ出しだけじゃなくてブッダの先進性なども公平に取り上げてある。

 聖書は実はトンデモないことが大量に含まれているというのはある程度知的な人なら周知のことだし、儒教だと浅野裕一さんの『儒教 ルサンチマンの哲学』みたいな良い本もあったけど、仏教について偶像崇拝に陥らない「科学的・実証的」な精神で書かれた貴重な本だろう。

 巻末のブックガイドは圧巻。

 文章もクリアで分かりやすいし、これは確かに売れますよ。読んで良かった。

 アカハラ加害者がまだのさばって反省してないらしいのは、最近惨状が目立つ我が国の人文系学問を象徴するような話でウンザリするが、著者の活躍はそれに対する痛快な反撃になったのでは。この勢いでもっと活躍して欲しい。