従妹ベット 上 (バルザック「人間喜劇」セレクション <第11巻>)

従妹ベット 上 (バルザック「人間喜劇」セレクション <第11巻>)

 図書館で借りて読了。素晴らしい。特にいいのはユロ男爵とベット。出来たカミさんがいながら、いい年して女遊びの末に悲惨な境遇に陥り、運よくそこから抜け出した後もカミさんが死んだら若いネーちゃんとすぐに再婚するなんて、どうしようもないというか、救いがたいが、人というマヌケな存在の原型を感じさせて印象深い。
 ベットも、激しい嫉妬にかられ悪辣なことをしながら立ち回る姿が、おぞましくも人間の業を感じさせる。
 個人的には、ヴァレリーはもうちょっと綺麗な死に方させても良かったんじゃないかと思う。あれだけ活躍したんだから、最後くらい良い見せ場があっても罰は当たるまい。
 これ以上ないってくらい俗な話だけれど、面白さは抜群。小説を読む楽しみを味わいたいなら是非。