近藤ようこ「月夜見」を古本で購入。著者の第一作品集ということだが、なるほど若書きと思わせるストレートな切迫感がある作品が多いのも頷ける。冷徹な観察眼に、幾分少女的な感傷が混じっているのは、これもやはり年齢的なものだろうか。
 以下蛇足。「わたしらしく」だとか「ほんとうのわたし」だとかいう物言いは、比較的近年に出てきたものだと思ったが、本書収録の「傀儡女」にそういった言い回しが出てきた。当時は、今ほど使い古された陳腐な言葉ではなかったのかもしれない。