心という難問 空間・身体・意味

心という難問 空間・身体・意味

 新刊で購入。前半の問題編は、普通の読者には親切かもしれないがマニア筋にはちょっとくどくて冗長。全体的にフラは少なくてまじめな筆ぶり。
 理論編と解決編はさすがに見事。しかし、これで他我問題(とそれにまつわる哲学的問題)が解決した感じは全然しない。眺望地図を現実の地図にする力というか、独在性=<私>がないとそもそもこういう話が始まらない、そしてその独在性が他の人にあるような気がしてしまうという永井さん的な話抜きには、他我問題は解決できないでしょ。
 と不満はあるものの、やはり手練れの一流哲学者の書くものは面白い。それに、議論の中身も読みやすさも大森荘蔵の後継者という感じがさらに強く出た感じがしました。
 余談。『哲学な日々』で出てたバラは暗闇でも赤いかという議論、バッチリ出てます(pp.180-182)。これはなるほどと読んでて声出ちゃいました。