シン・ゴジラ

シン・ゴジラ

 たたみかけるような早口とテンポでスピード感があり、巨大災害・パニックものとして良くできていて面白い。余計な人間ドラマ(恋愛や家族愛)をバッサリと切り捨てたのもプラスに働いているのでは。多分庵野さんはそういうのあんま上手じゃないだろうし。
 登場人物、ちょっと有能過ぎるというか、主人公をはじめあそこまでちゃんとした人が沢山いるのは、やや個人的にしらける。絶対現実に起きたらもっとグダグタになるよ。あと石原さとみのキャラは確かに評判通りちょっとどうかと。
 それと、最大の見せ場が中盤の総理大臣死ぬところなのはどうか。ラストの盛り上がりがもう少しあればさらに良かったのだが。
 『エヴァ』のヤシマ作戦的緊迫感が出てたし、庵野さんはこういう都市破壊(+それへの対処)が向いてんじゃないですかね。
 しかし、確かに面白い映画ではあるものの、『片隅』と比べられるレベルにはないのは明らか(というより、『片隅』と比べられる芸術作品がそんなにないのだが)。やや過剰評価気味なので、そのうち落ち着くでしょう。
 ※追記
 そういや、基本リアリズム基調だけど、天皇全然出てこないのは気になった。エンタメ作品だからしょうがないんだろうけど、ちらりとにおわす形でも扱っていたら、作品に一段と奥行きが出たのでは。