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 社畜生活に疲れ切った人間なら、自然豊かな田舎に逃避したいと思ったことは一度や二度ではないはず。当然私も今まさにその状態なわけだが、「逃げだした先に楽園なんかありゃしねえのさ」(『ベルセルク』)という名言そのままに、過酷な田舎生活をコミカルに描いていて面白い。かつ貴重な記録にもなっている(作中にも就農希望者へ失敗の典型例として本書が勧められているというのが何とも皮肉)。

 経済的にはお金をあまり使わないことにより意外と何とかなっていたようだが、そこらへんをもう少し詳細に出してくれれば(農業以外の金銭事情、特に原稿料などは書きにくいだろうが)より良かったのだが。

 動物好きとして、相棒のブンさんの死のエピソードは(相当抑えて描かれている感じがするにもかかわらず)涙を誘われる。

 が、何といつの間にか結婚してたと続編で発表されて驚いた。同じ孤独な中年男性としてシンパシーを感じていただけに少し興ざめしたのは、完全な嫉妬です。スイマセン。

 ブンさんの死を乗り越えられたのも伴侶の存在が大きいのでは。そういう意味でも、作品へ深みを与えることにもなるはずなので、結婚の経緯はその内作品化して欲しいものだ。