吾輩は天皇なり―熊沢天皇事件 (学研新書)

吾輩は天皇なり―熊沢天皇事件 (学研新書)

 図書館で借りて読了。以前から「熊沢天皇」の名前だけは知っていたが、具体的な生い立ちや人となりは知らなかったので、ふと思い立って読んでみた。いや面白い。単なるキチガイという事前の予想とは違い、本人はそれなりに人格者で狂的人物という感じではなかったようだ。
 また、トンデモ好きにはおなじみに「竹内文書」との関わりはなんとなく納得できないこともないが、二・二六事件に浅くない関係があったという話はビックリした。さらに、天皇の正統性に異議をとなえる熊沢天皇の正統性に異議を唱えるという(こう書くといかめしいけれど、お家騒動というか、ちいさな利権争いといったせこいことなんですけどね)、早口言葉みたいな笑えることもあったようである。
 奇人変人好きだけでなく、普通の人も、天皇という存在の奇妙さも感じられて楽しく読めると思います。