- 作者: 春日太一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/01/01
- メディア: 新書
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常軌を逸した完全主義と役への没入振りが、採算を度外視した製作体制を招き、結局経済的に行き詰ってしまうのだが、そんなことはどうでもいいのではないかというぐらい、ここで書かれている勝の芸術家としての姿はそれ自身非常に面白い作品となっている。それを示すエピソードを一つ。
「おい!座頭市はどこだ!座頭市がいないぞ!」
勝の言葉に一同唖然とする。その様子に、勝は思わずガラスに映った自分を見て、初めて我に返る。
「あ……座頭市はオレか」(p.183)
本書を読んで、テレビ版座頭市が見てみたくなった。
以下余談。さらっと触れるだけだが、p.195には芸能界とヤクザってやっぱり縁が深いことをにおわせることが書いてある。世間に流通しているステレオタイプなイメージ通り、今もそうなのだろうか。多分そうなんだろうな。