現代人は救われ得るか―平成の思想と文芸

現代人は救われ得るか―平成の思想と文芸

 図書館で借りて読了。と言っても、厚いので流し読み。ふんだんに引用をちりばめながら、平成に活躍した小説家の作品を丁寧に論じていく。私は現代小説をほとんど読まないので中身が妥当かどうかコメントできる立場にないが、「文芸批評」という言葉でイメージさせるものの典型だというのが、読んでの感想。
 個人的にピンとこないのは村上春樹の偉さかな。本書でも(当たり前だが)中心的な扱いを受けているし、『作家の値打ち』でも最高ランクの評価を受けていた。何冊か手にとって見たが、一気に読ませる力は確かにあるけれど、内容的にそれほど凄いとは感じられなかった。(『世界の終わりと〜』なんて下手すりゃ「これ何てラノベ?」ってもんじゃないの?)やはり、私は文学的感受性あんまりないんですかね。
 それはともかく、本書は読み応えがあるし、小説読みならこの本をネタにして、色々議論できて楽しめるでしょう。