さよならもいわずに (ビームコミックス)

さよならもいわずに (ビームコミックス)

 新刊を購入。作者と妻以外の登場人物は、友人・家族はおろか、娘すらほとんど存在感がない。いかに妻を失った喪失感が大きいかしのばれる。
 時折、世界そのものが悲しみで変形する絵は、あまりに悲しい。涙のしずくが落ちたブックカバーというこったつくりも、本書へのこだわりが並々ならぬものであることを示している。
 力のこもった作品。おすすめできます。
 どうでもいいことだが、私が個人的に結婚していないからかだろうか、連れ合いを失う悲しみというのが想像できないので、身につまされる感じがしなかった。親兄弟が死んだら、多分それなりに感じるものはあるのかもしれないが、大きなショックを受けるとは思えないし、一体どんな感情なのだろう。
 我が家の猫が死んだら、多分それに比肩できるものが体験できるのかな。