- 作者: ジョージ・スタイナー,高田康成
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2011/10/28
- メディア: 単行本
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まあはっきりとした明確な論証や結論めいたものがあるわけじゃないけど、ハイデガー風に、現代の(主にアカデミックな場での)師弟関係について、ある種近代批判というか、人格的交流の欠如を嘆いてはいる(「結語」参照)。
今や絶滅寸前であろう教養人の、現代文明へ懐疑としてももちろん読めるが、著者の博覧強記と、偉人達のエピソードを楽しむという読み方でもいいのでは(というか、私はそうした)。
ちょっと面白い引用を。
人類の可能性を開くという観点に立つとき、バッハとベートーヴェンは、ラップやヘヴィメタの比ではない。あるいはキーツが開拓した誌的洞察は、ボブ・ディランの及ぶところではない。この真実は自明であり、自明でなければならない(p.208)。
ここまではっきり言い切ると気持ちいいな。