悪と徳と 岸信介と未完の日本

悪と徳と 岸信介と未完の日本

 図書館で借りて読了。裏話・エグい話は少なくて寂しいが、歴史オンチの私にはこういう読みやすくて中身のしっかりした伝記はありがたい。
 一番カッコいいのは、東條英機と対立して憲兵隊に玄関にドス突き立てられても屈しなかったというエピソードでしょう。政治家たるもの、ましてや総理大臣になるような人なら、このくらい胆力がないと。東大首席だとか秀才だとかいう評判ももちろん大事だけど、カリスマ性の醸成には、こういった器を感じさせる話のひとつやふたつがないとね。毎日駅前で無内容な演説(なんて立派なもんだか知らんが)してましたなんてぇのを自慢しているどっかの国の首相は、それに比べると単なるアホとしか言いようがありませんな。
 ぶ厚いけどそんなにぎっちり字も詰まってないし、わりとスイスイと読めるかと。