Better Never to Have Been: The Harm of Coming into Existence
- 作者: David Benatar
- 出版社/メーカー: Oxford University Press, Usa
- 発売日: 2008/09/15
- メディア: ペーパーバック
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「悪いことがない世界はそれだけでプラス、良いことがない世界はマイナスではなくプラスでないだけ、なので比べると誰もいない世界の方がマシ」だとか、図を描いて説明してくれんだけど、結局は著者も分かっているとおり、今後人間生んじゃいけないという方向への議論はできても、今現に存在している人間をどうするかってーのは言えない訳で、そこまでもっと踏み込んでくれれば(後ろの方で自殺の話するけど)なーと。
まあ、少しでもモノを考えたことがある人間なら、「人間の存在は罪深いかもしれない」「自分は存在しないほうがマシだ」「今すぐ人類は滅びるべきだ」なんてことを思ったことは一度や二度ではすまないだろうから、こうはっきり正面から議論してくれるのは嬉しい。
中核のテーゼから帰結する、一見するとキチガイじみた「中絶はOKどころかドンドンするべき」「子供生んじゃダメ」といった主張を真面目(だよな?)に論じているのも貴重です。妥当かどうかはともかく、どんな主張でも、一貫して突き詰めてみるのは大事だよ。
人間が「ポリアンナ」的で不幸を低く見積もるだとか、幸不幸の比較に関する指摘だとか(単純に量だけ比べてもダメ。時間的な配分なども考えないといけない)、言われてみれば当たり前だけどつい見過ごちがちだから、ちゃんと書いてくれているのは親切。
英語も特段難しくないし、予備知識も必要なし。議論のレベルはそこまで高くないとは思うけど、話題が面白いし、興味があれば読んでみてもいいかも。
ちなみに、この本の存在は森岡正博さんのtweetで知って、興味を持って読んでみました。