このミステリーがひどい!

このミステリーがひどい!

 図書館で借りて読了。ウンコ漏らしたエピソード(p.18)から始まり、作者をキチガイ扱い(p.157)したり有名作品をバッサリと切り捨てたりと、読んでいてとても楽しい本。
 今の純文学の状況をクラシックと現代音楽で例えるのと、囲碁や将棋に興味がない人は全くそれが楽しめないのとナボコフを楽しめたいのを類比的に論じるのは、アナロジーとしてかなり分かりやすくて卓抜だと思う。
 私も猫々先生ほどじゃないけど一時期SFやミステリーも一応教養として読んでみようかと挑んだけど、結局ちょっと読んですぐ飽きちゃったから気持ちは結構わかる。「SFなんて小説より映画の方が良いじゃん」という身もふたもない突っ込みも、これだけ沢山読んだうえで言われたら、バカにできないでしょう。
 何だかんだ言って、SFやミステリー、それに時代物などのいわゆる「ジャンルもの」って、頂点とされる作品が、オースティンやバルザックみたいな小説の古典と比べると全然敵わないのが、文化として1流のものとは言えない原因じゃないですかね。
 あとは、小説にスイーツって言うのは面白いので今後使わせてもらいます。
 いやいや堪能しました。けなすだけじゃなくてちゃんと面白かった作品も挙げているので、今度読んでみよう。