新刊で購入。前半半分くらいの過去論が一番優れていると感じた。全体を通しても非常に読み応えがあり面白かった。
 ただ、原初的な自己中心化、言語獲得による脱中心化、再度の中心化という動き自体はまあいいんだけど、再度の中心化それ自体がある種言語に巻き込まれて脱中心化を逃れられないという円環構造に対する感度が鈍いからか、他者論はほかのテーマに比べるとイマイチだったかな。
 あとがきによると、不在の次は無について書きたいらしい。本書から判断するに、まだまだ哲学者として現役でバリバリ本書けそうな気がするので、是非とも頑張って出版してほしい。
 それにしても、これだけ高い水準の(中島さん以外の著者含め)哲学書がそれなりの頻度で出版されていることを考えると、日本の文化(?)も捨てたもんじゃないなと励まされます。