キンドルで購入。前著に続き、声なき声をすくい上げる少しだけ偽悪的なテクスト群。これまた前著に引き続き取り上げる植松事件など、単純なウェブ論壇的話題だけじゃなく、テーマとして本格的で大きなものもあるよ。
 権威主義体制の民主主義に対する優越は、侵略戦争を仕掛けたロシアやゼロコロナでダメージを負う中国の今現在を見ると、その診断は幾分早計だったか。自由を重んじるがゆえに紐帯が薄れていくジレンマを指摘するのと同じく、政治体制もある面で優れていても(政策展開が早いetc)、他の面で劣る(独裁者の暴走を止めるのが難しい)という、ある意味当たり前の事実を念頭に置くべきだったか。
 筆者の言説は一部の人が言うような悪質な反動的アンチフェミ、憎悪をあおるデマなどではなく、検討に値するものであることは間違いないと思う。党派的に叩くのでは意味がない。正面から対峙して答えるべき内容を持ってる。
 まさしく氷河期世代の独身限界中年男性という私のような人間だけでなく、社会批評めいたことに関心があるなら、読む価値は大いにあり。