精G

精G

 新刊書店で購入。私が年をとっていくことは、必然的に両親も年をとっていくことを意味しているわけで、まだ二人とも健康だとはいっても、徐々にこの先両親の老いと対峙していかなければならないだろう。その意味では、本書は他人事と完全には思えなかった。
 どこか突き放したような書き方と、時々挿入されるある種露悪的な性的妄想が、作品内容が要請する深刻さ・感動押し売り的美談物語への傾斜を押し止めて、読み物的娯楽性を担保している。
 終わり方が、作品内容のリアリズムとマッチしたアンチクライマックス的終局でよい。続編希望。