2円で刑務所、5億で執行猶予 (光文社新書)

2円で刑務所、5億で執行猶予 (光文社新書)

 図書館で借りて読了。これは良書。我々凡夫が抱いている犯罪に関する謬見を打ち砕いてくれる。その中には、多少知的な人間なら以前から常識であった「少年犯罪は凶悪化している」「日本の治安は悪化している」というのが間違っていることのほかに、割れ窓理論の有効性や厳罰化による防犯効果など、色々勉強になる。
 また、法律や法廷の限界の指摘は、非常に貴重なものである。

企業の不祥事、いじめや児童虐待の問題が起きた場合に、対策委員会が設けられ、弁護士や元検察官などが中心的な役割を占めることが多い。しかし、法律家は、法律の専門家、つまり、問題を法的に処理する専門家であって、社会問題を解決する専門家ではない。
 こうした委員会に法律家が不要だとは言わない。しかし、法律家は科学的、客観的に問題の原因を検討することは得意ではない。餅は餅屋、役割分担が大切で、何でも法律家に任せてしまうと、形式的な処分ばかりが横行しかねない。(p.160)

 読むべし。