漱石の『猫』とニーチェ―稀代の哲学者に震撼した近代日本の知性たち

漱石の『猫』とニーチェ―稀代の哲学者に震撼した近代日本の知性たち

 図書館で借りて読了。漱石とその弟子筋の人々や、朔太郎、芥川などに対するニーチェの及ぼした影響を手堅くまとめてある。知的なことに関心がある若い人間なら、ニーチェに狂うというのはそれほど珍しいことではないと思うが、明治以降の作家や学者(とその予備軍)もやっぱりそうだったみたい。言ってる内容も面白いし、文章も刺激的で美しいとくれば、魅了されないほうがおかしいよなー。
 ただ、哲学的にニーチェを読むと言うことに関しては、今の水準に比べるとちょっと落ちるような気がするけれど、これはやむをえないだろう(端的にその作業がとても難しいから)。