青色本 (ちくま学芸文庫)

青色本 (ちくま学芸文庫)

 新刊で購入。学生時代に読んで以来の再読。難しい。難しさにも色々あるが、用語や背景知識が分からない難しさではなく(カントはそういう面が強いかな)、哲学的思考がそのまま叩きつけられていて、それに付いていくのが難しい。
 前半は様々な心的概念の吟味、後半は独我論がらみの話で、永井ファンの私は後半によりなじみがあるが、前半部分も色んな興味深く、考え出すときりがない話題がたくさんある。
 こういう哲学そのものと言っていいテキストに久々に触れて、あまり理解できないながらも、哲学の面白さを少し思い出した気がした。
 難しいといっても、親切な解説もついているし、いきなり読んでも論考よりはずっとわけが分かると思うので、何か1冊哲学のマスターピースに触れてみたいという人は、青色本はいい候補なのではないでしょうか。
 筑摩書房でなくてもいいが、できれば次は新訳で『哲学探究』文庫化してください。