分析哲学講義 (ちくま新書)

分析哲学講義 (ちくま新書)

 新刊で購入。いや素晴らしい。歴史的な流れと、その中での哲学的な眼目をこれほどコンパクトかつ的確にまとめるとは恐れ入った。
 例えば、『論考』について。こんなに端的にその革命性を分かりやすく説明してくれた本は、少なくとも私は知らない。また、クワインの「二つのドグマ」が何でそんなにインパクトあったのかって、クワインの論文で言われてることだけ理解しても分かんないと思うし、どうも解説本もその点は上手く伝えてくれていない気が個人的にはしていたのだが、本書ではそれが出来ていると思う。
 さらに、単純な入門書レベルをはるかに超えた、ひどく難しくかつ興味深い議論もいくつかある(講義5、6、9)。その意味では入門書は必要ない人でも読む価値十分だ。
 とにかく著者のありあまる才能を見せ付けてくれる凄い本だと思います。早く次の著作が読みたい。