図書館で借りて読了。4篇の収録。どれも良いが、一番気に入ったのは2流画家が主人公の「ピエール・グラスー」。芸術家仲間からは尊敬されなくても、社会的・経済的には成功して、稼いだお金で真の芸術作品を集めているって、現代にもいそうな気がする。
 世俗的には成功しても、真の名声を得られない2流の芸術家なんて、屈折を抱えてひねくれそうなものだが、そうではなくて人柄がいいというのが、なんとも言えない味わいですな。また本人がそんなに苦に思ってなさそうなのがさらに悲哀というか、おかしみがある。
 今後もドンドンバルザックの作品は文庫化して欲しい。