精神医療ダークサイド (講談社現代新書)

精神医療ダークサイド (講談社現代新書)

 図書館で借りて読了。こんな本を待っていました。
 いやいやもう酷い話のオンパレードで、ほとんど人殺しみたいな事例も数多く出てくる。精神病院の中は、過去の悲惨な事件の反省から今は随分改善されているんだろうなぁと思い込んでたけど、そうとも言い切れないみたいだ。たいして悪くもないのに(もっと酷いと病気でもないのに!)薬を飲まされたり打たれたりして、廃人になりかける・なってしまうのなんて、並のホラーじゃ太刀打ちできないくらい怖い。
 「家族を精神科に入院させようとする人は、患者より病的な人がいる」(p.99)だとか、精神的に病んでいる精神科医(p.314)みたいなカフカ的存在は、もう誰かが今すぐ映画化なりマンガ化なりするべき。
 その他にも、過剰投薬、デタラメが横行する精神科の診断、製薬業界のえげつなさなど、漠然と疑っていた問題が、かなり深刻な事態になっていることが豊富な取材で裏付けられてる。
 確かに病識のない精神疾患の患者みたいな、精神科特有の難しさはあるにしても、欧米諸国と比べてかなり劣るとしか思えない水準なのは擁護できませんな。
 かつてよりは精神科が良くも悪くも身近になった現代では、周りの人間がメンタル病んで仕事休んじゃったりしている人も多いだろう。そういう意味でも、とにかく病院行って薬貰えば良いというものでもない(ダメな病院に当たると、かえって凄い量の薬出されて大変なことになる)ということを理解する上でも、有益な情報が多い。
 非常に素晴らしい中身です。みんな読みましょう。