ツェランの詩を読みほどく

ツェランの詩を読みほどく

 図書館で借りて読了。前期の作品を1篇1篇解釈していく。何でもかんでも外的な出来事に結び付けすぎな気がしないでもないが、かなり説得力はある。特に私みたいに考えなしに読んでると、かなりデタラメな解釈する危険性が高いから、こういう解説はいい解毒剤としてとてもタメになる。年譜も充実。
 まあどういう読み方が妥当なのかはこの手の芸術には難しいというか、決めようがない部分もありますがね。本人が死んじゃってるんで聞けないし、生きていたとしても「これはこういう意味ですか?」と素直に聞いて教えてくれるとは思えないんで、何が正解か決めようがないという部分もあるし。
 しかし「死のフーガ」「テネブレ」「讃歌」といった知名度も高い代表作は、改めて読んでみても凄まじいとしか言いようがないです。マトモな人間にはこんな尋常でない美しさを持つ詩なんか絶対書けないでしょう。病気のこともあるし、ある種のアウトサイダーアートとも言えるかもしれない。