Testimony: A Philosophical Introduction

Testimony: A Philosophical Introduction

 キンドルで購入(リンクがキンドル版はうまくいかない)。良くまとまっていて、各章の終わりに参考文献や論点をまとめてくれているのはありがたい。章の頭にある哲学的議論ではない研究の事例紹介(人の嘘を見破る能力は当てになんないだとか、謙虚な専門家より自信満々なボンクラを信用しがちだとか)も滅茶苦茶面白いし。ただ、突っ込みと言うか、哲学的にややこしくて面白そうな論点は結構スルーしている感ややあり(例えばルイスの議論など)。
 我々の知識って、普通の意味では大部分ある種の証言に基づいていることは間違いないのだが、「今私が持っている(と思われる)この知識は正しいか?」というある種の1人称的懐疑は、3人称的な証言の哲学的整理をいくら上手にやったところで、どうしてもすくい取れない漏れとして残っちゃう気がするんだよな〜。
 その種のとまどいが(ある意味しょうがないんだけれども)見えないと、哲学書としても魅力が減っちゃうのではないかと。