図書館で借りて読了。前半の青林堂分裂・ガロ廃刊の当事者証言はくだけだ軽妙な文体で(失礼ながら私の文体に近いかも)楽しく読んでたら、妻の死の下りに入ると哀切極まりない胸を打つ告白になり、かなり戸惑った。最後はある意味どんでん返しにも近い別人の証言でさらにビックリ。
 こう書くと奇書っぽい色物だと思われるかもしれないがさにあらず。間違いなく「血で書かれた」読む価値のある本だ。ガロという日本マンガ史の中で非常に重要な存在についての貴重な記録という資料的価値を目当てで手に取る人も多いだろうが、それと同じくらい著者と妻・周囲の人間のドラマも読み応えがある。
 久しぶりに良いドキュメンタリー的ノンフィクション本を堪能した。マンガ好きでなくてもオススメ。
 余談。精神においてガロの正統的後継者であるアックスの関係者の方は、本書の内容にコメントあるのかな。なかなか言いにくいことが多いとは思うが、形はどうあれ、何らかの証言を記憶がある程度ある内に残しておいて欲しいものだ。