図書館で借りて読了。壮絶な現代ベトナム史の荒波の中を何とか生き延びた一家の記録として中々に凄みがある。それを聞き書きしていくのと同時進行で描かれる、著者の親になることでの両親への理解の変化や心情の吐露は非常に感動的。特に生まれたばかりの息子へ授乳させるために病院へ通うくだりは落涙必至の名シーン。
 ベトナム現代史も勉強になる。有名なベトナム戦争での射殺シーンは、実は殺された方がそうされても仕方ない所業を働いたというのは初めて知った。
 椎名ゆかりさん翻訳に外れなしの実例がまた1作積み重なったかと。