- 作者: 古東哲明
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/03/16
- メディア: 単行本
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これは、中ではあまり言及されないが(索引がないんで本当にそうか自信はない)、テーマはニーチェ(が言ってたこと)でしょう。主に「芸術」を通して、瞬間を肯定するってことを書いてるんだから。
個性的なのは、どうすればいいか、具体的にいくつか「技法」といって紹介されていること。わけの分からないヨガやオカルト本ならともかく、哲学書でこんなこと書いてあるのは珍しい。試してみた人はいるのだろうか、気になる。
基本的な方向は大いに頷けるものの、こういう発想に対していつも感じているのは、はたして瞬間を生きることは、原理的に意図をもって目指して出来ることなのかという疑問。何も考えないだとか、無垢なる赤子だとか、そういった境地って、目指してなることと根本的に矛盾するような気がする。私の感覚で言うと、「肯定する」というよりは、「もう既に肯定されている」と言ったほうがしっくり来る。永劫回帰もそのことを言おうとしたと個人的に確信している。
あと無教養なんで知らなかったのだが、プルーストってどちらかというと知性的で「瞬間を生きる」というイメージはもってなかったのだが、そういう読み方ができるのかと初めて知った。
全体的な評価としては、非常に個性的で面白い哲学書であることは間違いない。大いにおすすめしたい。