図書館で借りて読了。上下で1000ページ近い大作だが、あまりに面白すぎて全く読んでいてもだれない。
 多少の才能はあるものの天才ではない田舎の美青年の挫折物語、田舎と都市の対比、恋愛の駆け引き、金儲けの企み、ジャーナリズムの腐敗、友情と裏切り、家族の愛情と葛藤、パリの連中の俗物性などなど、書ききれないほど沢山の情景が生き生きと、まるで目の前に居るかのような臨場感で描き出されている。
 名場面は数え切れないほどあるが、私が気に入ったのはコラリーが死ぬ前後のシーンだろうか。金策に走り回り、涙に暮れながら戯れ歌を作るリュシアンのなんと滑稽なことか。
 とにかく、私が読んだ小説の中でも最高レベルであることは間違いない。読書の喜びを心から味わえる作品。必読。