Varieties of Presence

Varieties of Presence

 キンドルで購入。素晴らしく面白い。知覚を芸術をモデルに考えるというのは非常に魅力的だ。現れ(presence)の中では、概念と知覚、命題知と実践知などはそんなにはっきり切り分けられるものじゃないというのは、ある意味もっともなことを考えると、字面ほど変なこと言ってるわけじゃないことは理解できるでしょう。
 ただ、(表象を外界を映す鏡みたいにとらえる)表象主義へのアンチテーゼ自体は説得力を感じる反面、そういう「知覚をどうとらえたらよいか」的な客観的に・誰にでも当てはまる形の話、つまりは世界の描写方法としての知覚の位置付けにしかなっていないというもどかしさは完全には消えない。
 つまりは、「そうは言っても、それが私に表れているコノ感じはそういう話では完全にとらえられていないのでは?」というもどかしさ。まさに今私に表れているコレ、そのアルファにしてオメガがまさにあるという点ですね。
 まあそれは世界を描写するということ自体とある意味相性が悪いので、しょうがないと言えばしょうがないけど、それでもちょっとスルーし過ぎな感がしてしまったのです。
 とは言え、写真とは何か、モデルとは何か、といった非常に面白いトピックもあるし、英語もかなり読みやすいし、ボリュームもて手頃とくりゃ、大推薦するしかないでしょ。
 フレーゲの数の話やマクダゥエルの第3の領域など、どちらかと言えば普通の人に馴染みのない話題も出てくるけど、非常にわかりやすく書いてあるので哲学に興味がある人なら問題なく理解できます。
 ノエさんの邦訳本もこりゃ早いうちに読まないとね。