図書館で借りて読了。老賢者の計測万能主義への警句といったところか。サラリーマンなら身につまされる、成果主義の弱点、上澄みすくいといったズルから本格的なインチキまで様々な対ノルマ対策などなど、さまざまな例を用いて、何でも計測した数字で測ればうまくいくもんじゃないという至極真っ当な懐疑を説得的に提示している。
 私も、良く分からない目標達成率みたいなものを業務上設定されていると、その数字を見栄え良くするために他の業務に手を抜いたり、その数字が良く見えるようにノルマの母数を少なくする小細工を弄したり、といったことは何回もやったことあるからね。
 著者も書いている通り、計測一般への反対みたいなヤバイ反科学主義をここから読み取るのは間違いで、我々の知性がまだまだ不十分で、数字化して出せば何でも上手く評価できるというのが浅はかだと(アウトプットでなくインプットで評価するようになるのは本末転倒そのもの)いう教訓を得るべきだろう。
 将来的に、色々知見が増えてより効果的な計測法など出てくるかもしんないしね。それまでは盲信しちゃいかんということだろう。きわめて健全。