ネトフリで。男優陣は日本映画にしては健闘していてそれなりにさまになっていた。ガミさんの行動原理は正直これだけだと説明不足では。なぜカタギを守ることにそこまでこだわるのか分からないと、人物造形として明らかに不完全なんだけど、その辺原作にあるのだろうか。
 似たようなことは主人公にも言えて、ガミさんに感化される理由が漠然としているのでは。初めて内部監察任務があると分かるシーンの表情は明らかに冷徹な官吏の表情で、普段は若い正義漢、そして最後にガミさん的路線へ進む必然性の描写が弱いかと。
 それと、昭和末期という時代設定でもあそこまで警察とヤクザはズブズブだったのだろうか。どのくらい事実をもとにしているのかが気になる。
 ダメダメ柳下案件ではなく比較的ちゃんとした映画ではあった。今やってる続編は評判は良いみたいだが、はたしてどうなのだろう。

 

 キンドルで購入。広い意味での分析系の哲学はどんなものかというのが良くわかる本。それこそ古代ギリシアから説き起こしてみたいなスタイルではなく、トピックごとに話を進めていって、自然科学との対比をメインに哲学の内容を解き明かしていくのがパフォーマティブにも「哲学とは何か」という問いへの答えを示しているとも言える。
 英語も非常に読みやすいし、現代哲学ってどんなものかを大枠でつかみたい非専門家にこそ、信頼できる内容としてお薦めしたい。
 余談。著者が有名なニーチェ研究者の話を聞いたときに、その研究者が「ニーチェ哲学は単なるアカデミックな理論じゃない。真剣に捉えれれば自身の生を全く異なる非慣例的なもの(unconventional、うまい訳思いつかず)に変容させるのだ」と言った後に、学生が「先生は哲学教授で学生に哲学を大学という制度の枠内で教えてるわけですが、それはどうなるんですか?」(=ニーチェ哲学を真剣に学んだら、世俗の制度そのものの大学制度に乗っかった教授をしてるなんて変じゃないですかってこと)ともっともな質問をしたところ、「質問の意味が分かりません」と逃げたらしい(pp.18-19)。
 こういった話は冗談でよく読むが、本当にあるんだね。先生もちゃんと上手い切り替えし用意しとけよというツッコミとともに、真面目に答えるとしたらどう答えるのがいいのかは考えないといけないでしょう。

 

 図書館で借りて読了。テロリスト、右翼、政治家、ヤクザから格闘家、ボクサー、キックボクサー、歌手、芸人にテレビマン、などなどなどなど戦前戦後の裏面史、格闘技史、芸能史を曼荼羅のごとく書いた大著。何せ児玉誉士夫からビートたけし(「左だろ」の下りはさすがの格好良さ。記憶力凄ぇ。頭の良さが分かる)・たこ八郎まで出てくると言えばその登場人物の多彩さは伺えるのでは。
 戦前戦後だからある意味当然ではあるが、単なる文化史に収まらず、政治テロや児玉期間、戦後のアジア諸国との関係など「表」の話題とも複雑に絡み合うから、またそれで一味加わるわけですよ。
 それが、野口修というほとんどの人は名前すら聞いたことがない人物の栄枯盛衰が軸となっているのがさらにもう一押し。
 しばらく前に出たこれまた名著『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』とテーマからしてどうしても比べたくなるが、甲乙つけがたい。著者の姿勢がこちらの方がずっと冷静で文体も簡潔なのが対照的なのはちょっと面白い。
 2段組みで500ページを超えるボリュームながら、あまりに面白くて一気に読んでしまった。文献調査だけでなく、関係者へのインタヴューなども大量にあり、資料的価値も非常に高い。後は沢村忠のインタヴューさえあればと誰しも思うはずだが、wikipediaによると今年の4月に亡くなってしまったようだ。残念ながらその願いは永遠にかなわなくなってしまった。
 さすが水道橋博士案件という出色の出来。読むべし。
 余談。貴重な情報が数多く書かれている本書だが、そこから小ネタを一つ。とっくに権威の欠片すら残っていなくてニュースバリューはそれほどでもないが、レコード大賞の審査員へのワイロがあったというのは(pp.463-464)本当のようです。

 

 図書館で借りて読了。映画界もコロナ禍直撃で色々影響があったわけだが、柳下案件だと2.5次元映画が登場とともに死にそうというのが一番分かりやすいか。
 宿敵福田雄一への軽蔑と幸福の科学映画ウォッチングといった定番ネタもちゃんとあり。「こんなもんでよかんべイズム」死すべし!

 有休取って猫様の検査へ。レントゲンと超音波は問題なし。血液検査がOKなら、来週歯のクリーニングとなる。検査中は大人しくしていたらしいけど、多分ビビりで何もできなかったのだろう。相当なストレスだとは思うが、健康維持のためにも我慢していただくほかないのが心苦しい。

 行きつけの割烹へ。

 タイの刺身、ワラサの刺身、タイとワラサの潮汁スダチ風味、タイのフライ、タイの煮付けニュクマム味、タイの炊き込みご飯。

 フライ、煮つけ、炊き込みが特に美味かった。意外なことに今回のMVPはスダチ。店主が絶賛するだけあり、滅茶苦茶美味くて、しぼり汁をそのまま飲んでも、料理に加えても(刺身にも!)、水に入れてもとにかく美味い。

 値段がまたまたキチガイじみた安さで、本当にこれで良いのか心配になるほど。やはり偉大な芸術家には少なくない狂気が宿るのだろうか。

 今月の購入予定、『諸星大二郎 デビュー50周年記念 トリビュート』(7日)だけっぽい。

 しかし、新刊一覧見たら、いわゆる「なろう系」がかなりの数出版予定でビックリ。そんなに面白いのかね。