アベノミクスの逆襲

アベノミクスの逆襲

 図書館で借りて読了。最近紹介した片岡さんの本よりこっちのほうがとっつきやすい。本人も言っている通り、できるだけシンプルに分析しようとしているからだろう。
 全く勘違いしていたこととして、バブル時代が物価が全体としてそんなに上がっていなかったというのは驚き。土地や株といった一部の資産だけ以上に値上がりしていて、他の一般物価は普通の上昇率だったらしい。それに対する対処も、いわばアベノミクスの逆をやって対処したおかげで、失われた20年の引き金をひくことになってしまったみたいだから、現在に至るまでの流れがあるわけですな。そうすると、ますます日銀の罪が重い。
 増税延期前の本だけど、まだまだ中身の賞味期限は切れていない。読んで損なし。
 余談。ブラック金融機関への対処で、「オフィスで死体を見た」なんて物騒な話があったからすぐに免許取り消したと書いているけど(pp.126-127)、警察には通報したんですかね。確かにそんなのところに普通の役人が訪ねていくと危なそうなのは分かるけど、通報一本で免許取り消しの根拠になるなら、悪戯や嫌がらせでその手の電話を誰かからされた業者と、本当のブラック業者(と言うより、そのレベルなら単なる犯罪集団ですな)どうやって見分けるんだろうかと気になったので。