Food for Thought: Philosophy and Food

Food for Thought: Philosophy and Food

 キンドルで購入。飢えや食物を含む資源分配みたいなメジャーテーマから始まり、私が一番読みたかった料理の芸術的側面、それにベジタリアン、もてなし(ホスピタリティ)の道徳性、飽食と節制など食べ物に関連する哲学的話題を薄く広く論じる本。入門書的な性格からか、どのテーマも踏み込みは今一つだが、手堅くてなかなか良い中身だった。ベジタリアンや節制なんてテーマはいかにもお国柄というか、ヨーロッパらしいテーマですな。日本ではそんなに取り上げられないもんね。
 英語はまあまあ読みやすい、紙の本のページ数はすくないけど、ボリュームはそこまで短くは感じなかったから、ちょうど良いくらいでしょう。
 味や料理、美味しさの基準といったいわば(知覚の哲学の中に色の哲学があるのと同じように)「味の哲学」について最近考えることが多いが、そのテーマについてはそんなに量がなかったのが不満。文献案内もないしね。料理が表象がないゆえに、芸術ではありうるがマイナーなものに留まるというのはテーゼとしては面白いから、考える材料としては悪くないかもしれない。
 ちょいとググってみても味の哲学についてはなかなか文献が見つからないのだが、まだ未開の分野なのか、それとも私の探し方がわるいのか、どうなんですかね。美学方面(美的判断についての哲学的考察)から、それとの比較で味の判断基準を考えてみるのがまずはすぐ思いつくアプローチなんだけど、誰かやってるかなー。