図書館で借りて読了。ものすごい知識量をぶちまけながら、グネグネした文章で身もふたもないことをはっきり言ってくれるのでおかしい。
 どうしても日本の伝統というとパッと浮かぶのは「武士」「ちょんまげ」「お江戸」ってな人が私を含めて多いと思うし、お江戸でござる的のほほん平和な江戸だった的思い込みがあって多少美化しがちだろ。しかし、まともな医療もない昔に過度な幻想を抱くのはどうなのよというのは真っ当な感覚ですな。
 それに加えて、『源氏物語』などの平安朝文学に比べると江戸の文化は芸術的価値が落ちるとすると、「これぞ日本!」というもののイメージを更新できたら良いんだろうけど難しいかなぁ。
 あとは、呉夫子の本の影響で旧かな使いのほうが一貫性があると思い込んでいたけど、どうもそう単純でもないらしいというのは、初めて知った。
 学者業界は政治的に左寄りの人が多いなか、政治的には中道現実路線(あとがき参照)で学問上は実証重視、さらには個人崇拝はよろしくないとあまりに健全過ぎる立場と、グネグネ文体で個人的なエピソードなど多く入った中身がある意味対照的なのも面白い。