キンドルで購入。

 非常に明晰かつ綺麗な構成で書かれいて、素晴らしい教科書といったところか。

 陸海空宇宙サイバーと各戦力とはそもそもどういったものかという基本の解説と日本におけるその具体例を分かりやすくかつ論理的に説明してくれていて、ある程度抽象的な事項も見事に腑分けされていて頭に入りやすかった。

 本人もネット番組で日本語で読める教科書がないことが執筆動機のひとつと言ってたし、今後しばらくは軍事についての日本語入門書と言ったらこれという位置付けになるのだろう。

 あとがきでの個人的な来歴などからすると、結構な濃度のオタクかつある程度理系的知識も苦手にしていない様子に納得がいった。現在の日本におけるある知的分野の代表クラスでも、試験に落ちたりある知識の習得に躓いたりといったことがあったというのは、凡夫たる我々には励ましになるかもしれない。

 でもこれだけ濃いオタクでもオシャレで見た目も格好よいのはちょいと反則では。でもそれがメディアでの活躍にプラスに働いたとしたら日本にとっても良いことだったか。

 新しい仕事でしばらくは安全保障系の外部発信はなくなってしまうのは寂しいが、少なくとも日本の政府の中心部分で、著者のような優れた知性が活躍してくれて、大袈裟に言えば日本と世界の平和へと貢献してくれることを強く願うし、いつかまた安全保障について外部発信をする立場に戻ってきて我々を啓蒙して欲しい。