33個めの石 傷ついた現代のための哲学

33個めの石 傷ついた現代のための哲学

 図書館で借りて読了。全て短めの文章ということもあって、それほどつっこんだ話はない気がする。その中では、宗教が無痛文明化の装置になっているというものは、面白い指摘だと印象に残った。
 話は変わるが、「無痛文明」というこの本の著者の掲げる視点は、現代文明を考察する上で結構説得力があると思う。そしてそれは、養老孟司の「脳化」ともかなりの程度呼応しあうものだろう(確か二人は対談本を出してたはず)。ここ何年かそういう事柄をについて考えたり本を読んだりすることはあまりなかったが、若いときに随分その手の話に惹かれたことを思い出した。
 もちろん今でも関心自体はあるが、いわゆるそういった「思想」的な事柄でなく、哲学的な事柄に関心の中心が移ったと言うのが正確なのかな。