- 作者: 西田幾多郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1979/10
- メディア: 文庫
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「存在」だとか〈私〉だとか色々な言い方があるけれども、「コレだよコレ!コレがなければ何もないも同然なんだよ!!」と言いたくなるようなあるものを、西田は「純粋経験」と呼んだことは間違いない。哲学の一番根本的な考察対象は何か選べって言われたら、西田が「純粋経験」と呼んだものであるのは、哲学かじったことがある人間の多くが同意してくれるんじゃないですかね。
そこから、ある意味純粋経験一元論とでも言えるような全てをそこから説明しようとする企ては、無謀だし訳がわからない点も多いけれども、非常に面白い。一つ気になるのは、永井独我論を経験した後の現代日本哲学ファンからすると、人称に対してかなり無自覚と言うか、そもそも純粋経験っていくつあって誰のものなのかというような視点がほとんどないのが、読んでいてもどかしかった。
まあそれはともかく、大森荘蔵以前にも哲学者としか言いようのない人間が日本いたこと自体、ある意味非常に驚くべきだと私は思うのですが、どうなんでしょう。
哲学に興味があるひとなら一度は手に取るべき本かと。今までまともに読んでこなかったのがもったいなく感じました。