物と心 (ちくま学芸文庫)

物と心 (ちくま学芸文庫)

 新刊で購入。非常に久しぶりに再読したけど、やはり素晴らしい。
 中でも「虚想の公認を求めて」は非常に強い影響を受けた思い入れのあるもので、改めてその中身の質の高さを認識した。
 解説も非常に優れたもので、さすがは青山さんという見事なもの。
 宇宙全体が立ち現われる、みたいな立ち現われ一元論って西田の純粋経験と結構似てますな。
 解説でも言われているように、西田と同じく人称の扱いがこの本だとよく分からない、つまり、立ち現われ一元論は一般化された私全てに当てはまる一般的なことを言っているのか、それとも今・ここ・私、要は〈私〉の話をしているのかが不明なのが、引っかかるポイントなんでしょうね。
 他の話題もどれもとても興味深いものばかりなので、哲学に興味がある人は読まないと人生損します。
 是非今後も大森さんの他の本どんどん文庫化して欲しい。