新刊で購入。哲学の議論をガッチリしているものもあれば、読み物風のものもあり、どれも力作ぞろいで面白かった。ただ、前半の広い意味での分析哲学の人と後半のそうじゃない人との内容的な差が激しい。もちろんどちらが優れているかは言うまでもない。
 青山拓央さんが書いている通り、今でもアカデミズムでは「哲学学」っぽいものじゃないと評価されないのだろうか。大森さんなんて「じかに」哲学している代表者だったわけで、それは評価されてきたわけでしょう。
 その系譜をある意味で継ぐ青山さんや永井均さんの哲学は、大森哲学と同じくどう考えても世界レベルで優れたものなのは明白なわけだけど、アカデミズムでは評価されてないの?青山さんなんてちゃんと京大の教授になってるわけだし。その辺アマチュアには業界事情が分からん。
 「大森荘蔵が世界的に見ても稀有といえるほどに偉大な哲学者であったことは疑う余地がないと私は思う」(p.114)と永井均さんが書いているけど、大森哲学という日本語で書かれた最高の哲学が、もっともっと多く(できれば世界中)読まれて欲しいし、それをを出汁にして沢山哲学的議論がなされて欲しい。そのためには、もっともっと著作を文庫化してくれないといけないし(特に『流れとよどみ』!)、英語に翻訳もされないといけない。